8760resort

Ultimate self-satisfaction impresses others.

東北の祖先から受け継いだ遺伝子

秋が深まり、北風が強く吹く頃になると、私の創作意欲が高まってくる。まだ肌寒い早朝から、木の板を鋸で切り、ヤ

スリで削り、穴を開けたり釘を打ったりネジ留めをし、昼を過ぎても空腹すら忘れて、思い描いた物を形にしていく事


に没頭する。私が特にこだわるのは、細部の作り込みと仕上げである。時間工賃の概念は全くなく、もし許されるもの

なら食事と睡眠以外の全ての時間は作業に向けるだろう。どうしてこうなのかと自問自答すれば、ある一つの答えが導


き出される。父方の祖父は山形県の農家出身であった。雪深い冬の農閑期には、恐らく藁細工や竹細工・木工品などを

手掛けていたに違いない。小学生の頃、夏休みの工作で父に板を切って貰った事があるが、父も鋸の扱いが巧みであっ


た。鋸で木を切る度に、私は東北山形の遺伝子を感じずに居られない。昔から俗に「祖先を敬え」と言うが、祖先と

は即ち遺伝子・DNAである。私には確かに東北人の血が流れている。工作をしながら、遠い山形の地に想いを馳せる。



子供の頃から好きな一句は、芭蕉「五月雨を集めてはやし最上川」である。父が生前教えてくれた山形県の本籍地を

Googleマップで見たら、そこは日本海へと流れ込む最上川の中流域であった。これは、偶然の一致ではないだろう。

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