【半世紀前の原付】基本整備を粛々と実施中(チェーン調整、オイル交換、キャブ修理、その他)
【ドライブチェーンの張り・完全調整】
チェーンの弛みが少し多そうなので調整します。左右のリヤクッションユニットの下側を外
し、スイングアームをフリーにします。チェーンガードも外し、タイヤの下に木などを置い
てドライブスプロケット・スイングアームピボット・リヤアクスルの3つの中心が一直線に
なる位置まで持ち上げます。この位置がチェーンの最も引っ張られた状態になるからです。
スイングアームピボット左のナットがしっかり締まってガタがないのを確認し、アクスルナ
ットを1/4~1/2回転緩めます。指で回せるほど緩めてはいけません。後ろのアジャストナッ
トを締め込む時にアクスルシャフトを引ければ良いのですから。アジャストナットは左右同
角度ずつ締めればアクスルシャフトは均等に引けます。M6並目なら1回転で1㎜動きます。
チェーンの最も引っ張られる位置(三箇所の軸中心が一直線の位置)で僅かに弛みがある程
度に調整したら、スイングアームを持ち上げてリヤクッションユニットの右側だけ取り付け
ます。本来は左も付けるべきですが後ほどチェーンガードをはめなければならないので右だ
けです。これでホイールを回してチェーンの状態確認やグリスアップがし易くなります。
チェーンにグリスを塗っていきます。このチェーンは125ccクラスのレーシングマシンに使
われていたOリング付きのチェーンですから、チェーン自体の潤滑は為されているとして
も、ローラーとスプロケットの歯には給油の必要があります。チェーン専用グリスでなく汎
用でも良いです。スプロケットに塗りながらホイールを回し、ローラー部に馴染ませます。
チェーンの張りを完全調整した後は、チェーン上側の中央部がこの様になりました。チェー
ンの下端がスイングアームの上端に一致しています。これを記憶しておけば、次回からはい
ちいちリヤクッションを外したりしなくても、チェーンがこの状態になるまで張れば良いこ
とになります。前回チェーン調整をした時には、この一致には全く気付きませんでした。
同位置を持ち上げてみると、その移動幅はぴったり30㎜でした。ですから、もしかしたらこ
の原付のサービスマニュアルには「遊び30㎜」と書いてあるかも知れません。この原付はリ
ヤクッションが柔らかいので、実際の乗車時には遊びがほぼなくなる位までチェーンが張ら
れるでしょう。張りすぎは禁物です。チェーンがすぐ伸びるし、軸受が負担増になります。
調整とグリスアップが完了したらチェーンガードを元通りに組み付け、汚れを拭き取ってか
らワックスで仕上げます。チェーンガードを外したり一部をカットする例をよく見ますが、
せっかくメーカーの設計者がこれだけの造形をしてくれたのですし、ズボンの裾やシューズ
が汚れるのを防げますからそのままの形にしておきましょう。巻き込み防止にもなります。
【エンジンオイル交換】
放置してから1年以上経ちますのでオイルを換えました。自家用車の冬用に使ったMobilオ
イルの余りがほぼこのエンジンのオイル容量(750cc)だったので流用します。粘度は
10W30です。これから涼しくなりますから柔らかめのオイルで良いでしょう。いちいちエン
ジンを掛けてレベルを見たりはしません。いずれ走らせた後に確認すれば良いことです。
【キャブレターのガソリン漏れ再修理→大成功】
フロートチャンバーの合わせ面からの漏れを再修理します。液体ガスケット作戦は見事に失
敗しました。そこで次は、やや古典的ながら確実と思われるガスケット紙を使います。Oリ
ングなんて物がなかった時代のエンジンは紙や布のパッキンでした。フロートチャンバーの
パッキンは昔からガスケット紙の使われている事が多いです。だから大丈夫だと思います。
フロートチャンバーの合わせ面をガスケット紙に乗せて輪郭を描きます。次に、中の丸い穴
の径や位置を測って輪郭の中に描きます。外周はハサミで切れますが、中の丸い穴はカッタ
ーナイフでないと切れません。しかもガススケット紙は硬いので、一度刃を入れただけでは
切れず、2周か3周切る必要があります。簡単そうに見えて実は結構根気のいる作業です。
合わせ面ぴったりにガスケット紙が切れました。劣化して潰れてしまったゴムパッキンはそ
のまま付けておきます。合わせ面の幅が結構広いので充分密着するでしょう。ネジ穴部分は
キリで適当に開けたためビスの通りがキツいです。そこでビスを予めねじ込んでおいてキャ
ブレター本体と合体させます。面倒くさがらずに初めからガスケット紙でやれば良かった。
少しはみ出ていますが、中に隠れてしまうよりは安心感があるでしょう。でも一部のはみ出
しがやけに目立つのでまた分解してハサミやカッターで修正しました。そこまでこだわる必
要は全くないのですが、本来あるべき形を考えるとどうしても追究してしまいます。チョー
クレバーがサビサビで嫌ですね。これは分解して外せないのでそのままです。残念だ…。
キャブレターを元通りに組み付けました。かなり無理のあるレイアウトだと思います。フレ
ームぎりぎりだし、アクセルワイヤーは強引に曲げて付いているし、カブみたいにダウンド
ラフトタイプのキャブなら上にエアクリーナーが付けられたのに。何この、細い紙のエアク
リーナー!ところがなかなか、走らせると何も支障がないのです。だからこのままで良い。
サビサビのチョークレバーですが、始動時に指の触れる部分だけ銅を貼ってピカピカにして
やりました。これで始動の儀式が楽しくなります。銅は酸化してすぐに輝きがなくなります
が、磨くとたちまち光り輝きます。暇な時はいつも磨いてやれば良いです。アルミは一度鏡
面仕上げすると酸化し難くなり、手入れが楽になります。汚いよりはピカピカの方が良い!
【バッテリーブリーザーパイプ取り回し改善】
バッテリーブリーザーパイプがダラーンと垂れ下がってます。フレームとリヤフェンダーの
隙間に掛かっていて、向こうから見た時にパイプが見えて嫌です。そこでパイプがフレーム
に沿う形に修正します。パイプは硬化していますのでヘアドライヤーの熱風で柔らかくし、
クセを付けてから冷風で固めるのです。髪がないのになぜかドライヤーはあるという…。
フレームに沿う形になりました。あー気分スッキリ。(暫くしたら元に戻りかけてた…🙍)